マクラメ編み作品の制作秘話-1
参考作品:心を包み込む-マクラメストーンブレス
マクラメ編みの不思議
マクラメ編みPJの秘話というか、泣かされるような苦労話はマクラメ作家「ピエロコ」が中心です。
ピエロコのグチを聞いて、笑いながらタイピングしていると思ってください(笑)
前半では「専用糸」ワックスコードの話、後半にはマクラメとストーンの不思議な関係を書きます。
ワックスコードの扱い
あの糸は「ワックスコード」と呼ばれる専用糸です。
これは着色された撚り糸を蜜蝋(みつろう)で固めたもの。大変しっかりした太い糸になります。
コードを触っていると指先が蜜蝋で少しベタベタし、うっかりメガネを触ると石鹸で洗う羽目になります。
コードの蜜蝋がハゲてくると、撚り糸がほどけてきて編みにくくなるので、再び固形蜜蝋を刷り込んで硬い状態に戻します。
柔らかい手触りを好まれるお客さまの場合、作品を完成させてから「ぬるま湯」で蜜蝋を溶かし、少しヘナヘナ状態にしています。
貴人天珠のマクラメ編みP-TOP
最近の作品では貴人天珠のマクラメ編みP-TOPのストラップ部がこれに当たりますね。
また、固めに編み込んだ作品でも愛用している間に少しずつ蜜蝋がハゲて、時間と共に柔らかな塩梅になってきます。
やっとこさ作品として完成したら、ストーンに付着した蜜蝋をキレイに拭き取ります。
ほっとする瞬間ですね。
編み上がった作品を、ピエロコが嬉しそうに見せびらかしに来ます(笑)
マクラメ編みとストーンの話
マクラメ編み作品は、最初にメインとなるストーンの外周を作ります。
コードが緩まないよう、引きちぎるような勢いの強い力で引き締め、結びます。
仮仕上げ中のクリスタルとインドルビーのP-TOP
上の画像の物は締め込み不足だし、クリスタルを止めているグリーンのコードを隠すように装飾しなくては見栄えがねぇ(汗)
こんな重めのストーン原石でも、がっつり固定されていますよ。
実際、1ミリのコードは十分に太く頑丈。これで強烈に引き締めます。
しかし何度もブチ切れます。が、それくらいの勢いでないとストーンは止まりません。
が、この「ブチ切れ」が単に力によることか、ストーンの仕業か、どちらかはっきりしないのです。
そして気をつけないと、ワックスコードを強烈に引っ張る小指の根本付近がパックリと切れちゃいます。
コードを締め込む時は、ピエロコは素手でもOK!
セレは革手を使っていますが、油断したら手が切れています。
ストーンが逃げた!曇った!やり直し!
ここからが大事なこと・・・
ストーンをワックスコードで引き締めて結んだ後、最低でも「半日〜丸2日」ほど放置します。
なぜ放置?と思われるでしょ。
信じられないかも知れないけど、様子見時間を設けておかないと、仕上げていく途中でコードからコロンとストーンが外れてしまうのです!
食事のために小1時間ほど席を外してから部屋に戻ったら、机の上でひっそりコロンと外れていた!
なんて、ザラに起こります。
コードを引きちぎるくらいの強さで締め締め結びしているのにも関わらずですよ。
さっきまで機嫌よく巻かれていたのに!?
腹も立ちますが「なぜぇ〜!?」って言葉が口から出ます。
しょっちゅうピエロコがストーンにブツブツ言ってる声が聞こえます(笑)
参考作品:薄いローズクオーツが絶妙に収まっています
ストーンが逃げる理由
- コードの色が気に入らないのか?
- ストーンの向きが気に入らないのか?
- 編み込みデザインが気に入らないのか?
- 使っているビーズの色が気に入らないのか?
と理由を探りつつ、また編み直しです。まぁ、そう簡単に原因は見つからないんですけどね。
なので、マクラメ編みPJは作っている途中で、何度もコードの色が変わったり、ストーンの向き自体まで変わったりすることもありありなんです!
マクラメデザインとストーンの向き
全体のデザインを決めるとき、ストーンをどんな向きに配置するかは非常に大切。
「見た目に美しい」とか「可愛い」という観点だけではうまく巻けないのです。(だってストーンが逃げるから)
ストーンの向きの良し悪しは、単なる球体と思えるストーンでも起こります。
ところで、売り物になっているストーンを加工する職人さんは・・・
- ストーン産出時の色合いの美しい部分を優先
- インクルージョン(混入物)の有無の都合
- クリページ(ビビ)の都合
- 加工中にできた傷を隠すため
これらの観点で仕事をすることが多いでしょう。
手元にあるストーンは完全に仕上がってしまっているのですから、原石状態がどうであったかパッと見ではわかりません。
そこで見るべきは、ストーンの形だけでなく大切なのは「エネルギーの出方」なのです。
エネルギーの出方を見れば、マクラメでカバーしてOKかどうか、上下はこれで良いかが変わって来ます。
ストーンの取り扱いに慣れている人でも、ストーンのエネルギーがわかる人でないと見極めることは難しいかと思います。
困ったことに、このストーンの向きのお話しって、意外とあるあるなんですよ(汗)
編み始める前には、ストーンの上下の向きを慎重に探しています。
ストーンの曇り
他にも、編んでいる途中で、急にストーンが曇ったり、そこから先がどうにも編み進められなくなったりすることもあります。
そんな時には、さっさと諦めて最初からやり直し。
全てのコードを取り外し、ストーン表面についた蜜蝋もキレイにします。
そして、自分の気持ちも新たにしてから再チャレンジ。
この「気持ちを新たに」ってのが大事なんですよ。
イライラしたまま始めると、また途中で編めなくなるし、反対に失敗を怖がっている気持ちがストーン伝わっても、途中で編めなくなります。
ストーンの意志を最優先してはいますが、こちらが下手に出過ぎてもうまく扱えない・・それがパワーストーンです。
ストーンの好みを読む話
写真のP-TOPは「赤い色が欲しい」とストーンが言っていたので加えたのですが・・・
赤い色合いの分量が少ないのが気に入らなかったのか、途中で編み進めなくなり、全てのコードを切断した状態です。
グリーンの中に赤いコードが入ると「クリスマスみたいになったらイヤだなぁ」って思いながら編んでいたので、ストーンになめめられた?
もっと大胆に赤いコードの分量を増やしていたら、作品に仕上がったのかも知れませんね。
気分を切り替えてから、再チャレンジですわ。
この気分転換の時に、ピエロコはセレにグチ三昧。
セレは散歩に出かけるか、他の作品を作ります。
なぜかって?
ストーンがヤキモチを焼いてくれたら次はちゃんと編ませてくれるかなぁと、密かに期待しているから。
まぁ、下心なんて簡単に見抜かれるわけですがね、(;´д`)トホホ…
ピエロコは結べない
マクラメ編み作品は、簡単なものなら私にも作れます。
だけど、マクラメは意外にもピエロコが思わぬ才能を発揮!
ストーンの組み合わせを決めるのはセレですが、コードの色やデザインはピエロコの判断にお任せです。
マクラメ編み作業中のピエロコ
途中でチェックするのでアドバイスしたり、やり直しを指示しますよ。
でもね、あんなに複雑なマクラメ編みができるのに、靴の紐は結べない。
ワンピースやスカートのリボンが結べない。
何度教えても「男結び(縦結び)」です。
どんなに気に入った衣類であっても「リボン結び」をしなくちゃいけないものは、絶対に買わない・・・それがピエロコです(笑)